第21章 群発災害
目が覚めると真っ白な空間にいた。
あれは…。
少し遠くに人影が見える。
次第にそれは私に近付いてきて目の前まで来ると、その人影ははっきりと形づいていく。
「お父さん…?」
「美影、久しぶりだな。大きくなって…。」
どうしてお父さんが…?
父はあの日亡くなったはずだ。
微笑む父を見て途端に涙が溢れてくる。
手を伸ばして触れようとしても、見えない壁があるみたいで触れられない。
「まだ来てはいけない。お前を待っている人たちがたくさんいるだろう?何よりも大切な人もいるはずだ。」
何よりも大切な人…?
……宗四郎!私の愛しい人…何よりも大切な人…。
その時、後ろから美影と大好きな声がした。
振り向くといきなり光り出し目を開けられなくなる。
もう一度目を開けると、よく見ていた天井が目に入る。
ここ、医療棟…?
手が温かい…。
なんだろうと思い視線を向けると、私の手を握りベッドに伏せる愛しい人がいる。
泣いてるの?
目元が濡れていて真っ赤で、隈まである。
「……そ…しろ……。」
瞬間、バッと顔が上がる。
赤紫の瞳と目が合った。
「美影っ…ふっ、うっ…美影…よかった……っ、よかった…。」
彼の目から大量の涙が溢れてくる。
私、死んだはずじゃ……9号に胸を貫かれて…え、どうして生きてるの…?
宗四郎は私の手を握り額をつけるとよかったと何度も呟きながら、ポタポタとベッドを濡らしていった。
「な、泣か…ないで…?」
「泣いてへんもんっ…。」
え、どう見ても泣いてる…。
目から水が溢れてるけど?
意識がはっきりしてくると医療班の方が来て、宗四郎は顔を伏せながら私から離れた。
医療班の方の少し後ろで、袖で涙を拭いている。
どうやら私は、小此木さんの遠隔操作とすぐに医療班の元へ運んでくれた方たちがいた為、一命を取り留めたそうだ。
1回死んだけどなとハニカム彼の目は未だに濡れている。
というか、1回死んだって?
心臓が一度止まったということだろうか?
9号の腕は恐らく、心臓を反らせたはずだ。