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あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第19章 偽り


ご飯を食べ終わってトイレに行くと部屋を出て向かっていると、あの女性と会ってしまった。

軽く会釈をすると声をかけられてしまった為、向き合う。


この時、何も聞かずにすぐに立ち去ればよかった。
知りたくもない真実を知らされてしまうことになるから。


何も知らずにあんなことをしてしまったと謝られる。

知らなかったのだから仕方ないと答えると、何か言いにくそうに目を泳がせた。


「宗くん…保科副隊長に聞いたと思うけど……昔、私たち付き合っていて、お互いもう気持ちはないのだけど、会ったらつい昔のことを思い出して、そういうことをしたくなってしまって…。」


「え?……付き合ってた…?」


言っている意味がわからない。

彼は、私が初めての恋人だと言っていた。


彼女が嘘を言っている感じもしなくて…頭が真っ白になる。


何故、嘘をつく必要があったの?

別に誰かと付き合っていたとしても、過去のことだからそこまでは気にしない。

でも、誰とも付き合ったことがないと嘘を言われて、それをこんな形で知りたくなかった。


もういい、もう何も信じられない。

どうしてあんな人を好きになってしまったんだろう。

好きになったことを、後悔なんてしたくなかった。


もう彼に何も期待しない。

もし、彼から話してくれたら許そうと思うけど、あの感じだと何も言わないだろう。

私から聞くなんて、絶対嫌だ。


「そ、そうなんですか。あははっ、何も知らなかったなぁ。嘘つかれてたんだぁ。ありがとうございました、では。」


急いでトイレに行って涙を流す。

彼に嘘をつかれていたから泣いているんじゃない。

何も知らずに彼の隣で笑っていた自分に嫌気が差した。

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