第14章 保科家
そろそろ準備をしないと遅れてしまうので、鞄の中から一緒に出したポーチを持って洗面所を向かう。
いつもはメイクなんてしないが、今日はさすがにした方がいいと思って、数少ないメイク道具を持ってきていた。
薄くメイクをし、恐らくいつもよりも綺麗になったので、そのまま髪を弄り始める。
ハーフアップにして、小さなリボンがついたバレッタで止める。
たぶん、これで大丈夫だよね?
彼の両親に挨拶なんてしたことないから、どんな感じにすればいいのかわからない。
服は白に近い紫色のワンピースに落ち着いた色のカーディガンを羽織り、肌色のストッキングを履いた。
鏡で自分の姿を確認する。
よし、露出も少ないし大丈夫だろう。
後は…手土産を用意出来ていないので、早めに出て買おうと思う。
「宗四郎さん、出れ…る……なんでも着こなし過ぎだよう…。」
洗面所から出て彼に声をかけたら、彼も着替えていてかっこよすぎて直視出来なくなった。
恐らく、ただの私服なんだろうけど…見たことのない私服を見ると、心臓が止まりそうになる。
「ははっ、そろそろ見慣れてや。ちゅーか…君の方がやばいやろ。めっちゃ綺麗やで。」
少し笑って私をまじまじと見つめると、少し頬を桃色に染めながら微笑んだ。
元々荷物をあまり出していなかったのですぐに荷物を纏めて部屋を出て、チェックアウトをする彼の隣で大人しく待つ。
手土産を買いたいので寄ってもらって、そろそろ宗四郎さんの実家が近くなった頃、緊張で若干お腹が痛くなった。
服装やメイクは大丈夫だろうか、手土産は調べて最中がいいと書いてあったし、宗四郎さんに聞けばご両親は好きだと言っていたので、たぶん大丈夫だと思うけど…。