第12章 識別怪獣兵器10
腰の横に帯刀した刀の柄に手をかける。
すぐに全解放をして一旦距離を取り、見えない斬撃を放ち、すぐに宗四郎さんに向かって走り出す。
「霞討ち!」
即座に右手に持った刀で彼に振り翳すが、その攻撃はしっぽによって弾かれた。
「そのしっぽ、便利過ぎない!?」
「やから言うたやろ!僕だけやないて!」
すぐに距離を取り、彼を見据える。
刀とナイフでと保科流刀伐術を使えることがわかった。
このまま攻め続ける…が、何度技を繰り出しても、躱されたりしっぽで弾かれたりと、なかなか攻撃が当たらない。
しまいにはしっぽで吹っ飛ばされる始末。
あのしっぽ…うざい。
その時、10号の楽しそうな声が響いた。
「保科、お前…昨夜、あの女を抱いてたのか。」
「……黙れ。」
「随分激しく抱いたようだな。……こいつ、心の中でずっとお前に謝ってるぞ。」
怪獣にもそういう知識があるのか…。
宗四郎さんが動揺しているうちに、返し討ちを使う為駆けていく。
まだ10号が何か言っているようだ。
お前でも好きな女の前では欲を抑えられないようだなと、なんとも楽しそうだ。
「ほんまにお前、黙れや!!戦闘中やぞ!…っ!?」
やばい!当たる!
10号と話している宗四郎さんの集中力が途切れ、私の攻撃を躱せずに当たりそうになってしまったので、彼の上を刃が当たらないように背中を反らせて通り過ぎた。
小此木さんの声で戦闘は中断された。
宗四郎さんのバイタル以上で…。