第11章 不調
ゆっくりと起き上がり、宗四郎さんに手を貸してもらいながら立って、医療班の人にお礼を言って、2人で隊長室に向かう。
歩いていると、彼に原因はなんだったのか言うのを忘れていたので話したら、僕のせいやね、ごめんと謝られてしまった。
慌てて宗四郎さんのせいだけじゃないと否定した。
隊長室につき、今すぐ来いと言っていたのはなんだったのか、鳴海隊長に確認する。
「あれは…そのオカッパが来たから、会いたいだろうと思って…。」
背を向けゲームをしたまま答える鳴海隊長に笑みが零れた。
やっぱりあなたはあの時のまま優しいお兄ちゃんだ。
「ありがとう、弦お兄ちゃん!」
そう呼ぶのはこれが最後。
もう過去は過去なのだ。
鳴海隊長が腕を上げてシッシッというように手を振ったので、私たちは隊長室を出た。
出た瞬間、宗四郎さんが弦お兄ちゃんってなんやとうるさいので、そう呼んでたと教える。
今もそう呼んでるのかと問うので首を横に振って、もう呼ばないと言った。
持つ物がないならこのまま行こうと手を引くので、財布とか持ってないがいいかと思い、そのまま大人しく並んで歩く。
何か買うとしても、スマホがあるから大丈夫だろう。
スーパーに行くと言うので、電車に乗り宗四郎さん家の最寄り駅で降りて、その道のりを歩いていたら、何かを思い出したように声を上げた。
「この下スーツやった。あと、洗ってもろうてるの、有明に置いてきてもうた。」
色々忘れてるなあと思い、笑いながら立川に行こうと言って、進む先を変える。
有明に置いてきたものは私が預かっておくことにした。
立川基地につき、彼が着替えるのを待つ。
彼が着替え終わり、まだ残っていた亜白隊長に挨拶をしてからスーパーに向かった。
途中で薬局に寄りたいという彼についていくと、手にした箱を見て顔を赤くしてしまった。避妊具だ。