第11章 不調
私が検査を受け点滴を打たれている間に、宗四郎さんは着替える為にいなくなった。
そして、会議があるからそれが終わったら来ると言った。
検査を終えて原因は、ストレスによる食欲不振で栄養失調になっており、貧血などを引き起こしていたようだ。
吐き気や嘔吐はストレスによるものだと。
なんだ、妊娠ではないのか…。
中には出していないから可能性は低かったが、少し期待してしまった。
ベッドで点滴をしながら休んでいると、宗四郎さんと鳴海隊長、長谷川副隊長が来て、宗四郎さんを押し退けて私のところに来ようとする鳴海隊長を、長谷川副隊長が首根っこを掴んで止める。
その隙に宗四郎さんが私の一番近くを陣取った。
「落ち着いたか?」
頭を撫でながら優しく聞いてくる彼を愛おしく感じ、じっと見つめてしまう。
名前を呼べば優しく微笑みかけてくれる。
「許したげる…。」
彼の顔を見れば、もう怒る気にはなれなかった。
だって、宗四郎さんがしたくてしたわけじゃなかったし。
「え……ほんまに?ありがとう、大好きや。」
心底嬉しそうに笑っている彼を見て両腕を伸ばせば、近付いてくれたので、その頭を引き寄せて胸に閉じ込める。
体勢が苦しいと苦情が来たが無視した。
立ったまま腰を折り、ベッドに横になっている私が抱きしめているのだ、そりゃあ苦しいだろう。
でも宗四郎さんなら大丈夫だろうと思い離さない。
辛くなってきたのか彼は、私の横に両手をついて少し膝を曲げた。
「苦しいやんかぁ…。」
そう言って、胸に押し付けていた顔を上げたので、至近距離で見つめ合ってしまう。
いつの間にか、鳴海隊長と長谷川副隊長はいなくなったようだ。