第10章 第1部隊
そんな風にいちゃついていると、いきなり鳴海隊長が椅子ごと飛んでいき大きな音をたてたので、驚いて顔を上げる。
どうやら、呼び出しを無視しているので、長谷川副隊長が来て蹴り飛ばしたようだ。
宗四郎さんも驚き大丈夫かと聞いてきたので、事態を説明し名残惜しいが通話を切った。
長谷川副隊長は怪獣8号のことで話があるから長官室に来いと言う。
先輩の…。
どうやら、私やキコルちゃんも行っていいらしく、その後をついていく。
長官室につくと先輩がいて、涙が零れそうになった。
金髪オールバックの厳つい…威厳あるこの方は、防衛隊の長官であり、キコルちゃんのお父さん…。
その方の前に鳴海隊長と日比野先輩が立っている。
どうやら四ノ宮長官は先輩を第1部隊に編成することにしたようだ。
史上最強級の怪獣と日本最強の対怪獣戦力を合わせ、最強の部隊を作り上げる。
それが、四ノ宮長官が出した答えだ。
だが、鳴海隊長は最強の部隊はボクがいれば事足りますと断った。
四ノ宮長官は怪獣が未知の進化を続けている、我々も進化せねばならないと答えた。
「8号は兵器化して、ボクが使うのが最も効果的だ。」
なっ、にを言っているの…?
先輩は先輩のままでいて欲しい…。
だが、私が発言することは許されていない。
大人しく2人の会話を聞くことしか出来ない。
四ノ宮長官が鳴海隊長の名を呼ぼうとしたが、それは先輩の声に遮られた。
やり残したことがあり、それを果たすまでは死ねない、しがみつかせてもらうと、鳴海隊長を見据えた。
そして敬礼をする。
「日比野カフカ、第1部隊でお世話になります!」
先輩と鳴海隊長は少し見つめ合うと、先に目を逸らした鳴海隊長は結果と実力を示せと言って、長官室を出て行った。
先輩の、鳴海隊長への感謝の言葉が響いた。