第9章 決断
車両が見えなくなるまで見送り、スーツからジャージに着替えたみんな共に廃材の撤去作業を終わらせ、飲み物を飲みながら休む。
先輩のことを話しながら、私たちには何も出来ないと頭を垂れた。
「宗四郎さんが……あ、いや…副隊長が言ってくれたの。僕らがどうにかしたる、って…でもやっぱり、討伐庁が決めるなら…。」
その先を言葉にするのはやめた。
彼を信じているからだ。
みんなが俯き黙る。
いつも騒がしいのは誰も欠けずに笑い合えていたから。
その中心にはいつも先輩がいた。
しばらく誰も口を開こうとはしなかった。
「美影、泣くんならこっち来ぃや。」
突然名前を呼ばれたので顔を上げると副隊長がいた。
彼は私の顔を見て泣いてへんかったかと呟く。
今にも泣いてしまいそうだったので、副隊長に駆け寄り抱きついた。
ポケットに突っ込んでいた手を出し、頭を撫でてくれる。
「こっち来いとは言うたが……勤務中やぞ。」
「名前で呼んだくせに…。」
僕はええねんと言いながら肩を抱き引き剥がすと、そのまま連れて行かれる。
濡れた頬を拭いながら歩く。
キコルちゃんも長官を説得しに行ってくれたと教えてくれた。
そっか、彼女は長官の一人娘…。
離したくあらへんのやけど、と呟く私の肩を抱いたままの彼を見つめた。
その後も私に触れたままだったので、言葉の意味がわからず首を傾げる。