第8章 告白
振り向いた彼が抱きしめたまま倒れてくるので、そのままベッドに横になり見上げる。
私の両わきに手をついて自分の身体を支えると、見つめ返してきた。
「なぁ…ほんまはしたことあるんちゃうか?」
何を言ってるの…?
宗四郎さん以外の人と寝たことがあるとでも言うの?
性交時の痛みは処女膜強靭症の症状かもしれないと…それは、例え初めてじゃなくても痛みや出血があるので、したことがあっても今回みたいな反応だと言うのだ。
「挿れとる時、演技しとったろ?気持ちようないのに声出しとった。……別に初めてやなくてもええ、ただ、嘘だけはやめとってな?」
「な…なんで、そんなこと言うの…?」
本当に私は彼以外とはしたことないし、えっちなこともしたことない。
彼は私のことを信じてくれていなかったのかと悲しくなり、上にいる彼を押し退けて部屋を飛び出した。
「ちょ待てっ!!そないな格好でどこ行く言うんや!!」
包帯を巻いているだけの姿で副隊長室を出ようと扉を開けると、小此木さんとオペレーターの男性隊員がいた。
びっくりしてそのまま立ち止まってしまう。
「なっ…まじか!」
突然後ろから手が回ってきて身体が反転し、後ろから抱きしめられた状態で扉に背を向ける。
肩からはジャージもかかっていた。
「アホちゃうか!?そないな格好で出て行ってどないするん!?」
怒鳴られてしまった。
宗四郎さんがあんなこと言うから…。
涙が溢れて震えた声で謝った。
宗四郎さんは小此木さんたちにちょっと待っててくれと言いながら扉を閉めた。
なんで私が怒られなきゃいけないの…?
宗四郎さんがあんなこと言ったのが悪い。
私が泣いているのに気付いてるくせに、そのまま部屋に押し込めた。
待っとれと言いながらジャージを羽織り、副隊長室に戻る。
流れている涙をそのままに服を着て部屋を出ようとしたがやめた。
また怒られるかもしれない…いやでも、今度は服を着てるから大丈夫かな?
恐る恐る扉を開けると、待っとれ言うたやろと睨まれたので、そのまま扉を閉めてベッドに座った。