第2章 防衛隊選別試験
副隊長の目がまた見開き、だんだん険しくなっていく。
「僕はお前の彼氏ちゃうねんで。」
口元は笑っているが、閉じられていてもわかる程笑っていない目に、若干の青筋……怒らせた…。
もう完全に気付きました。夢じゃないことに。
夢だと思って調子乗りすぎた。終わった…色々終わった…。
勢いよく起き上がって咳き込みながら床に正座をし、おでこを床に叩きつけた。
「すみませんでしたっ!!夢だと思って調子乗りました!すみません!!…はっ、はっ、ふっうっ…。」
目の前にある床を見つめながら、胸が痛くなる程の苦しさになんとか耐える為、呼吸をしようとする。
「すまんすまん。そこまで怒ってへんから、そんな急に動かんとき。肺潰れとったんやで?」
肺が潰れ…?
副隊長を筆頭に医療班の人たちが私をベッドに戻す為に、ゆっくりと私の身体を抱える。
夢じゃなかったのなら、私好きなんて言ってないよね?と、薄れゆく意識の中考えていた。
そのまま落ちていく意識の中に身を任せようとしたが、副隊長がここにいる意味を考えて、推測がついたからなんとか意識を手放すのを耐える。
ベッドに戻してもらった身体に酸素が行き渡るようにゆっくりと息をする。
幾分が楽になった頃、彼に尋ねてみた。
「演習場でのことですよね?」
副隊長がその言葉に頷いたので、あの時の、私が意識を手放すまでのことを話した。
話し終わると、副隊長はあっさりと病室を後にしてしまった。
当たり前か。
あの夢のようで夢じゃなかった時のことが気になり、近くにいた女性の医療班の人に聞いてみると、私はずっと泣きながら副隊長のことを呼んでいたので、落ち着かせる為に彼があのような対応をとったのだ言った。
副隊長としか言ってなかったようなので安心した…のだが、彼を困らせてしまったに違いない。
あとでまたちゃんと謝罪しよう。