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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第9章 少年は剣を取る(DMC4本編直前まで)


 病室の扉が静かに開いた。

 「……ごめんなさい、ネロ」

 消え入りそうな声。

 キリエが 俯きながら、ネロのそばへ歩み寄る。

 「私、本当に……」

 「大丈夫だよ、キリエ」

 ネロは 微笑みながら、優しく彼女を見上げた。

 「君が無事でよかった」

 「それが、一番大事なことだろ?」

 キリエは 堪えきれずに涙を零す。

 「でも……私がもっと強ければ……!」

 「違うよ」

 ネロは ゆっくりと首を振った。

 「オレが、もっと強ければよかったんだ」

 「……」

 「だから、オレも……もっと頑張るから」

 「もう、誰も失わないように」

 キリエは 目を見開く。

 ネロの瞳には、迷いのない決意があった。

 ビアンカは そっとキリエの背を撫でながら、静かに見守る。

 (……この子は、もう"子ども" じゃない)

 少し前まで、不貞腐れた少年だったネロが、今はこうして"誰かを守る者" になろうとしている。

 それは 成長であり、覚悟だった。

 ビアンカは そっと目を伏せる。

 ——それでも、母としては。

 「無理はしないでね」

 ただ、そう願わずにはいられなかった。
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