第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
「今日が初めましてなのに…
馴れ馴れしくてごめんなさい!
止めちゃってごめんなさい!!」
“止めちゃってごめんなさい”って。
もしかしてそれ“ディフェンスしてごめんなさい”って意味じゃねぇーよな?
お前ガチでそんなスタンスで、なんでバスケなんて出来んの??
?「だから…あの…
勝負してるんだからそれは普通だし」
ごもっとも過ぎて私が恥ずかしい。
つか試合に戻れねぇ…
?「てかこの試合だけで
既に10回は謝ってもらったよ?」
それ単純計算したら3分に1回は謝ってんじゃねぇーか。
しかも1人に対してだろ?
相手選手5人だぞ、全員に頭下げて回ってるわけじゃねぇーよな?
人見知り発動しないで、試合に集中してくれインサイド。
結局、キャプテンが詩織を宥めて、なんとか試合再開出来ることに。
「やっぱワタシベンチ戻る…」なんて言ってたけれど、監督に追い返されていた。
『相変わらず気ぃ弱ぇーな』
詩織の様子を一通り傍観して、「相手選手に気ぃ使われてどうすんだよ」と思った。
気ぃ弱いのは昔っからではあったから、“らしい”っちゃらしいんだけれど。
そういや詩織(あいつ)。
何を好き好んでパワー勝負必須のポジションなんかしてるんだ?
第4クォーター、残り7分33秒。