第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
プレイする理由なんて、出せばいくらでもあるだろう。
好きだから、とか。
得意なことだから、とか。
試合に勝ちたいから、とか。
私も最初は、ただ好きだからやっていた。
でもそのうち、「勝負に勝ちたい」と思うようになったし。
チームの中で役割を見つけたときは、ただの勝利よりチームワークでの勝利を望むようになった。
そして今、私がプレイする理由は、所謂“最終形態”に入った。
誰にも言ってないけれど、私はバスケットをする上で、究極の理由を見つけたと思っている。
今の私がプレイする理由。
それは、勝ちたいから、とか。
楽しみたいから、とか。
注目されたいから、とか。
そんなもののためじゃない。
私がプレイするのはな…
「一生離さないからね~!!」
詩織と。
「自分の~胸に~問いかけた~♪」
紗恵と。
「んでこれ、結局なんの遊びだ?
5人でやんのか??」
史奈に。
「天!お前この状況どうにかしろ!!」
それから愛華。
「天~!」
「天ウチの美声の感想は?」
「天聞こえてんのか??」
「おい天!!」
その呼び声のせいかは分からないんだけれど。
仲間4人に囲まれながら。
らしくもなく、フッ…と小さく笑っていることに、私は気づいた。
他の奴らは、そのことに気づいていただろうか?
相変わらず、うるさいし、痛いし、重いんだけど。
「「「「 天!! 」」」」
それでも。
私の目の前に現れる生還への出口は、やはり眩しいんだ。
・・・ ・・
それが例え、フラグだろうがベタだろうが。
「飛んで火に入る何とやら」と言われようが構わない。
私がプレイするのはな。
いつだって、“光”(コイツら)のためなんだ。