第1章 スタート
ゴールデン・ウィーク前の西の雄・大阪との三連戦の初戦、大阪ドームで行われる。
私はグラウンドでフリーバッティングをしていた。
「おお。上手いな」
「味方でよかったよ」
善吉監督(58)とバッティングコーチの神崎が話している。
私はインコースの処理に不安があるが、1ヶ月を.260(プロ野球・平均打率.240)と乗り切ったので平均よりちょっと上をいく成績に安心はしていたが満足はしていない。
たまにインコースに投げられたときに詰まらされる、バッティングを気にしていた----。
(ちょっと、インコースがついていけない感じがする)
インコースがついていけないことを気にしながらコーチにアドバイスを求めてバッティングコーチがいないかと辺りを見渡すと、瀬川がこちらの様子を伺っていた。瀬川はチームの左の中継ぎエースであり、チームの精神的支柱でもある。
万年・メリーグ、Bクラスのウチのチームでは唯一、計算できるピッチャーでもあった。
先発の石山・中継ぎの瀬川でウチはなんとか持っていた。
打撃が貧打だったので、学生時代にやっていた、アイドル時代から野球経験があり、女子の甲子園大会でも決勝までいけたのでドラフト指名に白羽の矢がたったのだ。
元々・全国的に人気があったのも指名された要因にはなったと思う。
だから客寄せパンダとは言われたくなかったのだ。
私はプロとして野球で結果を残したいと考えていた。
その日の18:00、大阪ドームで試合開始の合図が審判から告げられた。
「プレイボール!!」