第5章 二人でアオハル
「わぁ、見て見て!これ有名な鴨川だよね!」
「あぁ。」
私はぐいぐい悟さんを引っ張って土手を歩いた。
街灯の灯りが水面に映り、月明かりも反射して、水の流れる音もしていた。
「カップルだらけだなー。」
「あはは。王道の場所に来たね。」
私は自分から悟さんの指に自分の指を絡め、ひっつくように歩いた。
「はさ。」
「ん?」
「急に自分の体質のこと言われたのに、驚かないんだな。」
私の体質。というのはきっと呪霊が私に近づかない。触れようとすると消える。ってことを言っているのだろう。
「驚きはしたよー。でもまだわかんないことばっかりだし。」
「僕と心臓が繋がって、殺されるかもって時も、そんな感じだったな。」
たしかに、疑いはしたけれど、最終的には受け入れ彼の言うことを信じた。
「あんまり悲しんだり、怒ったりしないのな。」
「んー、そう?それは悟さんもじゃないの?」
「いや、僕は抗う術がある。力も技も。」
「あはっ。確かに、最強五条悟は自分でどうにか出来そうだよね。私無力すぎて、心臓のことも体質のことも他人事みたいになってるかも。どーにかしてよ、五条せんせー。任せっきりかなー。」
「悩んで絶望したりしないの?」
「えー…?んー…。悩むことはあっても絶望はしたことないかな。そんなことなら、美味しいご飯食べながら、好きなYouTube見る!」
「……。」
「あっ、でも!好きな実況者が引退したら絶望するかも!」
そしたら新しい推し探すか…
なんで、ぶつぶつ呟いていたら手を離した悟さんがぎゅーーっと力一杯抱きしめてきた。
「…どしたの?」
大きな胸に閉じ込められ、私は隙間から悟さんを覗き見たら、優しく微笑んでいた。