第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
悟さんのお屋敷に着くと、悟さんは私の腰に手を回し、エスコートするように部屋に連れていってくれた。
「がっつかないようにしないと。僕が暴走しそうになったら蹴飛ばしてね。」
「んもう、まだ廊下だよ…しーっ。」
深夜というわけではないのだ。誰かに聞かれているかもしれない。
「そのしーって顔可愛い。」
今多分フィルターかかってる状態だから、何をやっても悟さんは褒めてくれるだろう。
「はち切れそう。」
「心臓?そんなに?」
私が確かめようと胸に手を伸ばしたら、手首を掴まれてしまった。
「違う違う。こっちが。」
その手をそのまま悟さんの下半身に持っていかれ、私は慌てて手を振り払った。
「ば、ばかっ!」
廊下で何やってるんだと、私は急いで部屋に向かった。
「に言われるバカは可愛いなー。もっと言って。」
「悟さんみんなから言われてるでしょ?」
「言われるけど、のバカは可愛い。好き。」
みんなに言われるってのも普通におかしいのだけれど。
「デリカシーないの嫌だよ。」
「ごめんごめん。ほら、おいで。」
部屋の前で手を差し出され、私はそっと彼の手に自分の右手を重ねた。
悟さんに導かれ部屋に入ると、悟さんはそのまま手を引き強く強く抱きしめてきた。
「。」
耳元で聞こえる私の名前を呼ぶ声。
その声にゾクゾクしつつ、私は彼の背中に手を回した。