第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
「あまりにも急に記憶が戻って、どうしたらいいか分からずパニックになった。」
指を一本立てて悟さんは言った。
「宿儺の話ばっかりしていたから、僕に申し訳なくなって言えなくなった。」
二本目の指が上がった。
「傑に言われて、僕の出方を見てる。」
三本目の指が上がって悟さんは笑った。
「ただただが僕を揶揄いたいからがやった。僕としては、二番目かなって思ってる。らしい理由だし。」
まさにその通りだ。
悟さんを忘れてしまった罪悪感と、宿儺の話ばかりしていた申し訳なさが強かったのはある。
「あの…じゃあ、最初から気付いて?」
「うん。の態度全然違うし、何回か“悟”って呼んでた。」
「…無意識に呼んじゃってた。」
「“呪術以外てんでダメだ”なんて、そんなこと以外言う人間いないよ。」
「えっ…そうかな。」
「完璧な僕に向かって、最弱だとかダメ人間なんて、言えるのくらいだよ。」
おでこにキスを落とし、悟さんはくくっと笑った。
「あと、膝枕一回か二回くらいしかしてないし。」
「あ!やっぱり!あんなにしたって言うから変だなって思ったの!」
「くくくっ。ほらね。すぐは引っかかる。」
私の頬を親指で撫で、悟さんはどこか嬉しそうに笑った。
「だから、言ってるじゃん。は僕に嘘つけないって。」
ぐっと、私は何も言えなかった。
「で。はどうしたいの?僕とは別れてもう一度最初からやり直す?まぁ、その場合猛プッシュするけど。それか、このまま…」
「このままずっと一緒にいたい。許されるなら悟さんと恋人に戻りたい。悟さんが好き。」
ソファに座ったまま、真剣な顔で悟さんを見つめた。
「ひどいこと言ってごめんなさい。忘れてしまって、ごめんなさい。」