第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
配信サービスの私のアカウントに入って、私は悟さんが好きそうな映画を探した。
「あ、私、ハリーポッターが好きです。悟さん見たことある?」
「んー、あの狼人間が先生のやつまで見たよ。」
「じゃあ、次の炎のゴブレット観ましょ。」
「ん。」
私がぽちぽちリモコンを操作していると、悟さんがぐっと私の近くに座り直した。
「……。」
近い。
私は赤い耳を見られないよう髪の毛で隠しながら、映画をつけリモコンを机に置いた。
「もし疲れてたら寝ちゃってもいいですからね?」
「膝枕あり?」
「……な、なし。」
「前はあんなにしてくれたのに。」
「え?」
したっけ?と私は考えた。
膝に甘えてすりすりと来たことはあったけど、膝枕をした覚えはあまりない。
「。」
「はいっ。」
「手見せて。」
「…?」
悟さんは私の手を持つと、手首を撫でた。
指先ですごく優しく。
「……っん…」
それがくすぐったくて、私は手を引こうとしたけど、悟さんはそれを許してくれなかった。
「硝子に聞いた。痕が残るくらい手を握られたって。」
悟さんは目隠しを首に下げ、私の手首を見つめた。
綱手川さんに、確かに抑えつけられたせいで赤くなった。
でも、それも家入さんの術式で治してもらっている。
「もう…消えてますから。は、始まりますよっ。」
手首を引こうとしたけど、悟さんは離すことなく自分の口元に持っていき、私の手首にそっと唇を落とした。
「…っ!五条さんっ!」
「映画なんて、今はいい。そんなつもり、もないくせに。」
ぐっと肩に手を回され、強く胸に閉じ込められた。
悟さんの強い鼓動が聞こえてくる。
以前聞いた強く早い鼓動ーーー…
緊張してる。いつも冷静な悟さんが、今ーーー…