第3章 二人は一つ
あの後ランニングマシンでひたすら走り、一通り運動を終えると、五条さんはなかなか帰ってこないので、傑さんと二人で勝手に五条家に帰ることにした。
「五条さん、大丈夫ですかね…。」
帰り道ぽそっと私がそう呟くと、傑さんはすぐに、心配ないと返してくれた。
「北関東だと言っていたから、移動に時間がかかってるんだろう。」
「そうなんですね。」
傑さんは私を安心させようと、頭をポンポンと撫でてくれた。
「んもぅ、子供じゃないんですから。」
「ちょうどいい高さなんだ。」
「二人が高すぎるの。」
私が傑さんの手をはたいてやろうと、手を振りかざすと、傑さんはすぐさまその手を避け、揶揄うように笑った。
「あっ!五条さん!」
傑さんの向こうからあるいてくるのが見えて、私は走り出した。
「ただーいま。」
「おかえりなさい。」
「よぉ、苦戦したのか。」
「まさか。」
「苦戦してないの?」
私がそう尋ねると五条さんは眉を寄せた。
そんなこと言われるとは思っても見なかったようだ。
「僕が弱いと思ってる?」
「ううん、でもここ。」
私は五条さんの左腕にできた傷を指差した。
「こんなのかすり傷にも入らないよ。」
傑さんとまったく同じことを言うもんだから私はつい笑ってしまった。
「私にとっては致命傷かと思いましたよ!」
「あ。ちゃんも傷いくのか。忘れてたよ。後で治そうな。」
「じゃ、私はここで帰るよ。」
「あぁ、助かった傑。」
「。」
ちょいちょいと傑さんに手招きをされ私は傑さんに近づいた。
「悟に付けた跡。あいつたぶんまだ気付いてない。また後で反応教えてね。」
にやにやと笑いながら傑さんが言うもんだから、私は首を振った。
「嫌ですよ!傑さんが自分で言ってくださいっ!」
傑さんを押しやり私は五条さんの横に立った。
「今日はありがとう!傑さん!」
私は手を降り、五条さんと一緒に家路についた。