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【呪術廻戦/五条】嘘がつけない

第2章 二人はずっと一緒


「私の反転術式で治してみよう。」
「はんてん?」

私は垂れてくる自分の血をハンカチで押さえながら首を傾げた。

「傷を元に戻して治していく術式だ。ほら、手を退けて。」
「もど……えっ!?」

ふわっと腕が熱くなり、じゅじゅっと塞がっていくのを目の当たりにして、私は言葉を失った。


しかし、しばらくするとまたパカっと傷が作られ血が溢れてきた。


「ひぃ、見た目が気持ち悪いです!い、いたいです!」
「悟がまだ治してないんだな。ったく。」
「っていうか、呪術師傷治せるんですか!?時間を戻すの!?」

再びハンカチで傷口を押さえ、先ほどの光景を思い出した。

傑さんが手をかざしたら傷が塞がったのだ。
それはもう魔法のようだった。

「そうですよね。心臓が繋がるなんてことあるんですもんね、不思議なことじゃないのか…。」
「とても難しいから、限られた術師しか使えないけどね。」

「うー、いたーい。呪術師はよく怪我するんですね。」
「このくらいの傷はかすり傷にも入らない。」

そう言いながら持っていたタオルで私の傷をギュッと巻いて結んでくれた。


「痛みに弱いんだね、は。」
「人生でこんな切り傷負うことないですもん。タオルありがとうございます。」
「…非術師は怪我もしないのか。」
「みんながみんなってわけじゃないでしょうけど、私は静かな人生でしたから。転ぶくらいかな。」


私は腕のタオルを撫でながら、どこかで任務をしている五条さんを思った。


「私たちの想いから呪いは生まれるんですよね?」
「そうだね。」
「それを祓っているのが、二人みたいな呪術師。」
「あぁ。」
「祓わなかったら?」

私は恐る恐る傑さんの目を見て質問をした。
私たちの知らないところで戦ってる術師たち。


「行方不明の人間や変死、たまに流れるニュースはこういった呪いが原因のことが多い。」
「…そうなんですね。」


私はぎゅっとタオルを握りしめた。


「さ、もう一度治そう。悟が治してるかもしれない。」
「いえーーー。」
「…?」

「このままで。」

彼らの痛みをもうすこしこのまま感じたい。
自己満足だけど、私はそう思った。
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