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【呪術廻戦/五条】嘘がつけない

第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)



気をつけて…?


そう言った彼女は、私に手を振り去っていった。
笑顔の可愛い子だったけれど、知らない子だった。


あんなにフレンドリーに話しかけてくるってことは、もしかして五条さんと同じように私のことは知っているけれど、私だけが忘れてしまった人なのだろうか。

名前も知らない女の子。



私はもう一度部屋に戻ると、荷物を抱え校舎を出た。




もう全然寝れてないから、早く帰って寝てしまいたかった。


「ハクー。」

学長に挨拶は終えている。
ハク乗って帰るのだけれど、ふわふわで心地良くなって寝てしまわないか心配だった。



ハクは私にまとわりつくように出ていて鼻先を手のひらに当ててきた。
そんなハクのおでこを撫でていると、目の前からまた知らない男性が歩いてきて、私に手を上げていた。


「…?」


今日はよく話しかけられる日だ。と、私は思った。


「さん。…ですよね?」
「はい。」


やっぱり知らない人。
でも、今の話し方からすると、向こうも私と話をするのは初めてのようだった。



「五条家に行かないのならと、君の争奪戦が始まったと聞いてね。」


30代くらいだけれど、どこか貫禄のある男性だった。
和装を着ていて、優しげに笑ってはいるけれど、何を考えてるのかわからない、少し怖い人だと思った。


「…争奪戦?」
「あー、すまない。そんな言い方は失礼だったね。私は呪術の家系の、岩内(いわない)と言う。」
「…はい。」


いきなり昔ながらの呪術の家系の人が私に何のようだろうかと、私は少し警戒した。


「総監部が“阿曽の浄化の力を、呪術界にも広げる”とする噂があってね。まだ決まったわけではないのだけど。知ってたかい?」

私は首を振った。

まず、総監部というのがわからない。

高専とは違うのだろうか。傑さんがよく言っていた“上の連中”なのだろうか。


七三分けのピタッと分けられた髪の毛の男性はにっこり笑って私に手を差し出した。



「浄化というのは素晴らしい力だね。よかったら、私の許婚にならないかい?」


男性の言葉に私は口をぽかんと開けてしまった。



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