第18章 番外編 2
【エンド1 空港にて】
手がしわしわだ。
最後の最後まで、私頑張ったよ。
高専の人たちの依頼を受けたり、浄化の力で呪霊を救ったりして、ずっとずっと頑張ってきたよ。
白い空間で私はよぼよぼと腰をさすりながら歩いた。
清々しい場所だ。
駅…いや、空港かな。
ベンチもあって、人がいないけど、搭乗口もある。
「よっ、。」
「……っ!」
懐かしい声がする。
顔を上げると、最後別れたときと同じ格好の悟さんが、私に向かって手を挙げて立っていた。
「そんな歳になるまで頑張って、えらいえらい。」
「…悟さんっ…!悟さん…!!」
私は走った。
私の姿はおばあちゃんから別れた時と同じ歳の姿になって、彼の胸に飛び込んだ。
「あ、若くて可愛いに戻った。おばあちゃんのも可愛いかったのに。」
「悟さん!!」
あの時と変わらない。
匂いも感触も温もりも、全部全部あの時のまま。
ひとときだって忘れたことはない。
「人生謳歌した?楽しんだ?」
「……もう悟さんがいないからめっちゃくちゃ羽目外して遊びまくった!取っ替え引っ替えで楽しんでやったもん!!悟さんが、先に勝手に行くから…!」
「はは。その歳になっても嘘がつけないのらしいなー。」
悟さん以外恋人なんて出来なかった。
恋もしなかった。
「…出来ないよ。ずっと悟さんが好きだったからーー…」
悟さんの胸に顔を押し付け、絶対に離すもんかと服を握りしめた。
「最後まで、浄化の巫女として頑張ったよ。最後は五条先生の教え子たちの子供や孫たちに囲われて幸せだったよ。」
ーー私は幸せだった。
「うん。全部みてたよ。お疲れさま。」
「行こっか。」
私は頷くと差し出された手を握り、私たちは歩き出した。
私の浄化の巫女としての旅はここで終わる。
これからはずっと悟さんと一緒にーー…
【エンド1 おしまい】