第18章 番外編 2
《お疲れサマンサー!メリークリスマーーース!!いえーーい!!》
去年よりテンションが高い気がする。
悟さんがいなくなって2回目のクリスマスイブ。
《もしかして、今の横に新しい恋人いたりする!?やば!気まずっ!元カレの五条悟です!死んでます!》
なんて事を言うんだ。と私はくすくす笑った。
《いやいんだけどさー、に恋人いてもー。どうせ僕はを幸せにしてやれなかった男ですよ。》
「幸せだったよ。悟さん。そんなこと言わないでよ。」
勝手に私に恋人ができたと妄想して勝手に拗ねる悟さんの表情が手に取るようにわかって、私は子鹿ちゃんを抱きしめた。
《三年目も聞いてくれてありがとうね。でも、呪力を溜めるこの呪骸の関係で今年で最後。この子鹿ちゃん弱いんだから。誰に似たんだか。ホント子鹿は弱い弱い。》
「んもー、子鹿って私に言ってるでしょ。」
《。僕は幸せだったよ。がいたから。親友がいなくなって、ただ最強としての呪術師をする僕を、は一人にしなかった。がいたから寂しくなかった。》
「…悟さん。」
《だから、にも最後にもう一度お願い。これで最後だからーー…。》
《どうか幸せに。笑って過ごして。僕が幸せだったように。》
《ありがとう。》
ぷつっと音と共に、子鹿ちゃんは力が抜けたように項垂れた。
「幸せのなり方が…わからないよ。悟さん。」
溢れ出す涙をそのままに、私は強く強く子鹿を抱きしめた。
「この録音で、悟さん一回も好きとか愛してるって言ってくれないじゃないっ!」
それはきっと呪いになるから。
私が前に進めるよう言わない悟さんに、私は腹が立った。
「…言ってよ。私にーー…呪いをかけてよ。」