第17章 番外編 1
今日も推しが良いーー…
生きててくれて、生まれてきてくれてありがとう。尊い。
「何、テレビに向かって拝んでんの。キモイよ。」
「酷いよっ!悟さん!」
五条家のお屋敷のテレビは大画面は、私の推しのゲーム配信者を拝むのには最適だった。
「YouTubeなら後でも見れるでしょ。珍しい呪物を回収してきたらしいんだけど、も見る?」
「呪物?」
私はテレビを切って、ソファから立ち上がると、ドアの所に立っていた悟さんの元に駆け寄った。
さっきまで悟さんは隣の部屋で来客があったはずだ。
その人から受け取ったものだろうか。
「そ。物に呪いがかけられてるんだ。高専はそう言った物も預かり管理してる。」
「へぇ。」
悟さんの部屋まだついて行くと、机の上に小さな木箱が置かれていた。
「確かになんか…古くて呪われてそう。」
お札みたいのも貼ってあり、雰囲気はバツグンだ。
「これ。どこにあったか知ってる?」
にまにま笑う悟さん。
こういう笑い方の時は何かある。変なこと企んでるか、バカなことを考えてる。
「…わかんない。」
「歓楽街。」
「…へぇ。」
予想は当たった。
「あーいった場所は本当に負の感情が渦巻くよね。嫉妬に憎悪、独身欲…愛や金が絡むと本当に人間は面白いくらい狂うね。」
私は箱を上から覗き込んだ。
少し蓋が開けられた隙間からは木で人形が作られたいて、釘で刺したような穴がそれに複数箇所開けられていた。
何度も何度も刺した後のような…。
「これは藁人形みたいな感じ?」
「そうだね。ホストを呪ったのか、他の客を呪ったのか。ただ一人だけじゃない。色んな人の手に渡ったみたいで、多くの呪いが重なりその辺の神社や寺では手がつけられなくなって、高専に来たってわけ。」
手のひらサイズの木彫りの人間には、お札がクルクルと巻かれたいる。
「好きな人を想うなら、想えるだけで幸せってなれば良いのにな…」
触れはしないけど、私はそっと指先をソレに伸ばした。
途端、お札が光り、じゅっと燃えるように消えた。
「!」