第15章 二人の未来
私の首にしがみつき、ぎゅーっと怖がる男の子。
「お兄ちゃんとはどこで離れたの?」
20キロくらいだろうか。重くて仕方ないけど、アドレナリンが出てる私はその子を抱え、グラウンド方面に走った。
少しでもさっきの呪霊から離れたかった。
「2階…。わからなくなったら職員室で会おうって言ってたんだ。」
よりにもよって2階…!
私はすぐに悟さんを呼ばないとダメだとわかっていたけど、両手で抱え走っていた私はそんな余裕はない。
「はぁ、はぁっ!」
こんな予定じゃなかったのに!
おもいっ!
一人が怖かったのか、ずっと泣き続ける男の子を一度落ち着かせたくて、私はグラウンド横の体育用具を入れる倉庫の影に一度その子を下ろした。
「大丈夫だよ。お兄ちゃんあとで探そうね。」
「…ひっく…うん。」
「どうして何もない学校きたの?」
「お兄ちゃんここで卒業したんだ。引っ越したんだけど、一度見ておきたくて…」
「そっか。」
卒業ってことはある程度大きい子みたいで、私は少し安心した。
呪霊からは危ないままだが、迷子で泣いたりはしていないだろう。
「とりあえず、助けを呼ぶね。ちょっと待っててね。」
ナイフで自分を傷つけるところを、こんな小さな子に見せるわけにはいかないと思って、私は背を向け、ナイフを取り出した。