第13章 間話そのニ
虎杖はおろおろしながら、自分の手をぎゅっと握った。
「まぐわ…っほら!手を繋ぐんだよ!」
汗をダラダラ垂らしながら虎杖が言った。
「ピュアか。」
野薔薇は呆れて言い、ため息をついた。
「要はあれだろ?……男女の営み。」
「はっきり言うなよ!女だろ!」
「はっきり言ってねぇだろ。」
野薔薇はバシッと虎杖の頭を叩いた。
「宿儺はさんと…やらせろってことだろ?虎杖の体で。」
「うわぁぁー!!」
伏黒に言われ、虎杖は顔を真っ赤にして首を振った。
「そりゃ、五条先生も肩パンしたくなるわな。」
「大人げないけどな。」
野薔薇と伏黒がそれぞれ言った。
「そんな…!俺知らないうちに童貞捨てるの!?」
「…(童貞なんだ。)」
「…(童貞なんだ。)」
『小僧、あの小娘で終わらせておいてやる。』
急な虎杖のカミングアウトに二人が黙り込んでいると、虎杖の手の甲で急に声が上がった。
「あっ、宿儺!オマエやめろよ!さんに手を出すなよ!」
『小僧にはわからんか、あの娘の美味さが。』
「生々しいな!やめろ!」
虎杖は自分の甲を叩いた。
「なんでさんなんだ?この前きいた“浄化の巫女”ってやつか?」
伏黒の疑問に、虎杖の頬に口がぱかりとあいた。
『浄化の血が美味いからだ。小僧、たまに身体を貸せ』
「おっけーって言うわけないでしょ!絶対変わらない!」
ぺちっと自分の頬を叩き、虎杖は叫んだ。
ケヒッと笑って消えた宿儺に、虎杖はため息をはいた。
「虎杖はとりあえずさんと二人きりにならないほうがいいな。」
「おう…。」
伏黒に言われ虎杖はすこし元気なさげに返事をした。
今まで3回、宿儺に変わってさんと接触してるはずだ。
「じゃないと本当に五条先生に殺されるわね。」
「ひっ!」
「そ。次は殺すから悠仁♡」
「せっ、先生っ!」
急に後ろから現れた五条は虎杖の頭に手を乗せた。
「はーい、皆お土産だよー!」
そう言って地方のお菓子を野薔薇と伏黒に手渡した。
何もない虎杖は、瞬きをした。
「あの…先生。俺は?」
「あ?」
「…なんでもないでーす。」
しばらく五条の虎杖への八つ当たりは続きそうだった。