第13章 間話そのニ
「いてっ。」
虎杖は自分の肩をさすった。
通りすぎた五条の背中を眺めながら、虎杖は頭にハテナを浮かべた。
「最近さー、五条先生がよく肩パンしてくるんだよね。なんかの稽古かな。」
避けてみせろ的な。と虎杖は横にいる野薔薇と伏黒に言った。
「そりゃ、この前の闘技場での一件でしょ。」
野薔薇の言葉に伏黒は首を縦に振った。
「あの人急に子供っぽいところあるからな。」
「えぇー!?俺ちゃんと勝ったじゃん!なんかした!?」
「あんた宿儺の時の記憶ないの?」
「ある時とない時ある。元々意識失ってるときは覚えてないし、宿儺が見せてくれない時もある。」
「この前のは?」
伏黒の質問に、虎杖は覚えていると答えた。
「覚えてんならわかるでしょ。あんた何したのよ。」
野薔薇は呆れて言った。
あの時はの胸ぐらを掴み、契約を交わし、血を受け取った。
「思いっきりみんなの前で……さんにキスしたろ。」
伏黒がなぜか少し照れながら言った。
「いや!あれは宿儺じゃん!」
「体はあんたでしょ。しかも口ぶりだとあれが初めてじゃなさそうだし、これからもさんにつきまとうみたいな感じだったわよ。」
「…えぇ。じゃあ、あの時…」
「あの時?」
虎杖は自分の部屋でのことを思い出そうとしたが、首を振った。
「いや、なんでもない。」
口と手を五条に無理矢理洗われたのはそのせいかと、虎杖は落ち込んだ。
「俺…さんに合わす顔ねぇよ。」
「極力会わない方がいいわね。宿儺が暴走したら、五条先生に殺されるぞ。」
くくっと笑う野薔薇はなんだか楽しそうだ。
「あの時の闘技場での時さ…」
伏黒がポツリと話し出したので、二人は伏黒を見た。
「まがわうってどう言う意味だ?」
二人はピタッと固まった。