第1章 二人は一緒
疲れた。
毎日毎日同じことの繰り返し。
朝起きて食パン齧って、満員電車に押し込まれながら出社して、
先輩のクソみたいな夜の武勇伝を右に書き流し、
ぼーーーっと仕事する。
夜帰って適当に簡単な丼ものをつくって、食べて寝る。
そんな毎日。
生きがいといったら…
「ひぃぃっ!くっくっ!今の最高っ」
YouTubeのゲーム実況者の動画見てニヤニヤするくらいだ。
寝る前にスマホ握りしめ、イヤホンで動画を見ていると、こちらまで楽しくなってくる。
溜まってたストレスがなくなってくる。
笑うって大事だと本当にそう思えた。
「聞いてるの?さん」
「あっ…!はいっ!」
女性上司に呼ばれ、書類片手に叱られている最中だ。
ーー私は最後、それでいいか確認とったもん。
頭を下げながら私は目の前の上司にイライラするのを必死で隠した。
最後確認をして、許可をもらったから通した書類なのに、なんで私だけ怒られてるんだろうかと、思ってはいたが、口には出さない。
頭をあげ、ふと上司を見た。
ーー…あ。
「何?驚いた顔して。」
「あ、いえ…なんでも無いです。」
肩にいる。
はっきりとは見えないけれど、確かにナニかいる。
小さい時から不思議な生き物を見ていた。
おそらく他の人には見えていない生き物。
ただ私にもはっきり見えるわけではなく、ぼやっと霧がかかって見える程度だった。
なんとなくここに目があるのかなって思うくらいで、よくわからない生き物。
それがなんなのか、私にはずっとわかっていなかった。