第11章 二人の絆
椅子に座ったままだらっと背もたれにもたれかかり、天井を見上げる五条はまたため息を吐いた。
「禪院家傘下の家のものと、僕も結婚しろってよ。」
「…?どういうことだい?結婚の条件をのんだら、を取り戻したところで仕方ないじゃないか。」
を取り返したかったら、結婚しろなど、五条にとっていい条件とは言えない。
「僕と繋がりを持っておきたいんだろ。その条件をのんだらを返すって。結婚は禪院家の手のかかった者と、は妾にしていいってよ。」
五条の言葉に夏油は不快感を示した。
「おいおい、いつの時代だよ。」
「それな。」
「条件は?」
「もちろんのむ気はない。知らん女と結婚とか無理無理。じじいどもは血筋血筋うるせぇんだから。どうにかを取り戻したいんだけど、どーすっかな。」
すると、五条は心臓を押さえた。
「…の鼓動か?」
「たまーに緊張か何かで激しくなることはあったんだけど…ちょっと何かあったみたいだな。」
手で自分の心臓の上を握り、五条は焦りを感じていた。
それくらい鼓動が激しく鳴っているようだった。
「…っ。」
厳しい表情をする五条に夏油は近寄り肩を手を置いた。
「ただ会話をしてるだけでははここまで心臓を高鳴らせない。走り回ってるか…もしくは襲われてるか。」
夏油はごくりと唾を飲み込んだ。
心臓が繋がってると相手のことがわかっても、手が出せないのが余計不安にさせた。
「…禪院家。本家は京都だよな。」
「待て待て。乗り込む気かい、悟。」
「壊せば出てくるだろ。くらい。」
「ネズミじゃないんだから。それに多治家にいるんじゃないのか。」
「…多治家どこだよ。」
禪院家の傘下の者にまでは疎い五条は、舌打ちをした。
「確か、結界術に秀でた家じゃなかったか?」
「結界術ねー。その中に入れてんのか。」
「恐らくね。」
イライラと低い声で言う五条を、夏油は必死に抑えようとしていた。
今の五条なら本当に乗り込みかねない。
「あーーー、めんどくせぇ……。あ。」
ふと、何かを思いついたのか、五条はにんまり笑って立ち上がった。
「何か案があるのか?」