第11章 二人の絆
いきなり仙台から消えた私が、次にいたのが虎杖くんの個室のベッドの上で、しかも虎杖くんと二人で並んで座ってて、虎杖くんは私の肩に手を置いている状態だ。
まぁ、冷静に考えれば、悟さんなら宿儺の仕業だとわかるはずだが、さすがに窓ガラスを割ってやってくるとは思わなかった。
「五条先生っ!?」
ガチャっと、割れたガラスの上に立つ悟さんは私に近付いた。
「…さ、さとるさん。」
サングラス越しに目が合うと、私はぶわっと涙が溢れそうになった。
宿儺と私の契約と、対価がなにか理解してる悟さんはきっと色々察してるはずだ。
悟さんはこんな事で私を責めたりしない。
そんなことわかってる。
それでもーー…
私は立ち上がって、悟さんの前に立った。
「…いっぱい情報教えられた。…いっぱい。」
私がそう言うと、“対価としていっぱい触られた”と、理解した悟さんはぎゅっと握り拳を作った。
「うーー。」
私は思いっきり悟さんの腰に手を回し、おでこを胸に押し付け抱きついた。
わっ、わっ!と、虎杖くんがあわあわしてる声が後ろから聞こえてきたが、気にしなかった。
「話も聞いてくれないし、拒否も交渉も出来なかった。」
「非術師のが宿儺相手に無理だよ。わかってる。責めてない。」
頭を抱きしめてくれた。
「お、俺…やっぱり…」
悟さんは手を伸ばし、困ってる虎杖くんの顔を掴んだ。
「せ、先生っ!」
「悠仁も悪くはない。悪くは無いんだけど…ちょっとツラ貸せ。」
「ええっ!?」
「洗う。」
「はぁぁ!?」
悟さんは私から離れると、ズルズルと小さなキッチンの流しにいくと虎杖くんの顔面にそのまま水につけていた。
「ガボガボっ!!せ、せんっ!!ぶわぁっ!し、死ぬって!」
顔を出してタオルでぐわしぐわしと豪快に拭くのをみて、私は横から口を出した。
「悟さん、手もお願いします。」
「ちっ!悠仁!!手ぇ!!」
「ええっ!?」
洗剤を大量にかけられ、もうめちゃくちゃだ。