第8章 二人で一緒に
悟さんは自分が言ったかどうか思い出せないのか、考え込んでいた。
「ほら、やっぱり無意識に私を欲しいって思ったんだよ。別に私自身じゃなくってもいいんだよ…。阿曽巫女の子孫だか…らっ!」
また溢れてきそうな涙に、悟さんは慌てて首を振った。
「それは違う。絶対に違うと言い切れる。」
「…っ。」
強い口調で私はぎゅっと口を閉じた。
「確かにの横は心地いい。キスするともっと欲しくなる。でも、それは血のせいじゃないってのはが一番わかってるんじゃないのか?」
そう言って悟さんは私の胸の中心に手を添えた。
心臓の上だ。
今は落ち着いているけど、さっきまで高鳴ってた悟さんの心臓。
「術師じゃないとの会話が新鮮で、最近は楽しくて仕方ない。術師じゃ気付かないことになら気付いてくれる。」
少しずつ大きくなっていく心音。
「そんな血が欲しいとか、そんな事のためにそばに置きたいなんて、思うわけないだろ。」
ぽたぽたと再び涙が落ちた。
「私なんかと…心臓繋がったせいで…」
そばにいるのは心臓が繋がってるから。
ネガティブなことばかり考えてしまう。
「なぁ、って。」
「…ひっく。」
「ほんっとーに僕が好きで仕方ないんだな。」
「…っ!」
へにゃっと笑って私の頭を撫でる悟さんに私は一気に涙がひいた。
「な、なんでそんなっ!」
「僕の気持ちを疑うくらい好きなんじゃん。自分だけを見て欲しいって泣いてるのも可愛いし。」
「ち、ちがっ!!」
確かに悟さんの言う通りだ。
阿曽巫女のことを抜きにして、私だけを好きでいて欲しいって言っているようなものだ。
「ま、が最近避けてるのは気付いてたけど、それ以上にオマエが僕を好きってのはわかりきってたことけどね。」
「えっ!?」
「いやだって、心臓わかりやすいじゃん。目が合えばドキドキするし、ベッド見てドキドキするし、基本僕といる時、ドキドキしかしてない。は秘密も嘘も僕の前では無理だよ。もーどんだけ車でも襲ってしまおうか悩んだけど、傑に止められたしさ。なんか避けてるし。」