第7章 二人のこれから
しばらく考え込んでいた悟さんは、小さく息を吐いた。
「その血は?なんで、舌から血が出るの。」
いつもより少し低い声で言われ、私はぐっと手に力が入った。
「…怖くて噛んじゃった。ごめんなさい。」
「やっぱり怖かったんじゃない。平気なフリして。」
嘘…をついてしまった。
心臓はきっとすごい鳴っているんだろうけど、両面宿儺を前にしたら、鼓動が早くなるのは不思議じゃない。
肩に手を回され、ぐっと胸に押し付けられた。
「怖かったな。」
「…う、うん。」
小さな嘘からの罪悪感。
そしてもう一つ。
私はぐっと悟さんの胸を押して、距離を置いた。
『美味い。』
と、宿儺は言っていた。
そして…悟さんも。
もやもやと渦巻く小さな疑問。
「?大丈夫か?」
「ちょっと…いきなり色々聞かされて疲れたみたい。」
ぽんっと頭を撫でられ、私は下を向いた。
「浄化のこと、五条家の文庫に記録がないか調べてみるよ。」
「ありがとう。私もやりたいから、何かあったら教えて欲しい。」
「あぁ。」
そう言って悟さんが立ち上がったので、私もそれについていった。
「傑にも共有しておく。」
「うん。」
「情報がまとまるまでは、色々知りたいだろうけど、悠仁と二人にならない様気をつけて。」
「わかった。」