第6章 二人?でアオハル
『阿曽のこと、力のこと、なぜ小娘があやつと繋がったのか…、まだまだ知りたいことがあるだろ?』
小出しにするつもりなのか、意地の悪い笑みを浮かべている。
「…。」
『また平安の時の様に付き合え阿曽巫女…いや、よ。』
「…あなたは?」
『両面宿儺だ。』
そう言って、目を閉じた。
「ん?あれ?」
瞬きを繰り返す虎杖くんは、元に戻ったようで、キョロキョロとしていた。
「あれ?…あれ!?俺もしかして!!」
自分の顔をペタペタと触る虎杖くんに、私はどう答えようかと慌てた。
「っ!!!」
すると、道場にものすごいスピードで入ってきたのは悟さんだった。
ビクッと私がすると、悟さんは私の両肩を掴んで体のあちこちを見始めた。
「何があった。あいつの残穢だ。」
「あっ…えっと……」
「殴られたのか?血が出てきてた。」
私の舌先から血が出ていて、きっと悟さんの舌も傷付いているのだろう。
私は首を振った。
「俺なんかした!?あいつ出てきたのか!?なんで…勝手に…!」
自分のせいだと顔面真っ青になってきた虎杖くんをみて私は、違うと首を振った。
「何も!…何もされてないの!殴られたりとか!話をしただけで!」
「結界までつくって?あまりに薄くて気づくのに遅れた。」
ぐっと私の肩を掴んでいる手に力が入った。
「私のことを少し話しただけなの。」
私は大丈夫だと、悟さんの手に自分の手を重ねた。
「両面宿儺さんから聞いた話を悟さんにも伝えたい。」
「……。」
悟さんは頷くと、私の肩から手を離し、虎杖くんに視線を向けた。
「悠仁。悪いけど稽古また今度でいいか。」
「あ、うん。」
悟さんの真剣な声に虎杖くんは、私をチラリと見た。
「本当に大丈夫か?さん」
「大丈夫だよ。ありがとう。」
安心させるように、笑いかけると虎杖くんはほっと息を吐き、部屋から出ていった。