Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜
第90章 俺の手がキミにとって安心な場所になる様に頑張るから
潤から楓未奈へ
潤side
(え?)
楓未奈ちゃんが……ちょっと微妙な距離を保って俺の右側を歩いていた彼女。俺の小指に左手で軽く触れて……でもすぐ手を離そうとして。
スッ
「潤さん?」
俺は逃がさないように、右手を彼女の左手に絡ませて。俺、知ってるよ?キミが他の人に触れられるのが苦手だったり、緊張すると喋れなくなっちゃうの。
人との関わりを極力少なくして、本当に信頼出来る人間にしか心開かないようにしてたんだよね。
傷つかないように。心を守っていたんだよね。
「俺の手がキミにとって安心な場所になる様に頑張るから」
楓未奈side
潤さんは、急かしたりしない。私が話すまで待ってくれる。例えば、何かの拍子に手とかが触れたとして、私がビクってなったらそれ以上は踏み込んで来ない人……
人に触られたりとか怖いの。けど今、私自分から潤さんに触れようと……
『半年後、考える』
高校最後の夏休み。あの日。そう答えた。半年間。潤さんはいつも誠実に私に想いを伝えてくれた。私も心の中で私の心の声を聞いて来た……
スッ
「楓未奈ちゃん?」
私から潤さんの右手に私の左手を重ねたの。ビックリしたみたい。
「『少しでも望みはあるのかな?』って言ったの潤さんですよ?時間がかかっちゃいました。ゴメンなさい。とっくに 答えは出ていたのに……」