第70章 ひとりひとり、違う人格。別の人間なの

　雅紀&未唯彩。潤&楓未奈

「焦ったよ『酔っぱらい作戦』の後さ。梨良ちゃんの瞳が揺れてたの分かってた。早く想い伝えなきゃ。って。

　ようやく『優しく微笑むキミ』を見つめる『キミを見ていたいのはボク』が描きがってさ。必死に見せてさ「俺が好きなのは梨良ちゃんだよ」って伝えてさ」

「絵で愛を伝えられるって凄いよ。智」

「絵で愛を伝えられるって凄いよ！サトオオ！」

「絵で愛を伝えられるって凄げぇよ。智くん」


　3人の言葉が嬉しかったんだ。


　雅紀&潤side　



「俺の報告終り！で、潤くんは？」

「俺！？うん。楓未奈ちゃんから『離婚に向けて話し合うみたいです』ってメール来てさ。で、今日の午前中、ファミレスで話す事に」

「お！デート？」

「ちげぇよ！智くん！雅紀くんも未唯彩ちゃんに会って話したんだろ？学校で？」

「は？まぁ『報告会』で会ったんだよ。ね？潤ちゃん」

「潤ちゃんって」

「そんなのいいから。で？潤アニキ」

「カズっ！報告会だし『本気で両親は、私と未唯彩が家を出たがっているなんて微塵も思ってなかったんですよ？信じられないですよね？松本さん？』」


「未唯彩も同じ事言ってたよ。ご両親が泣いて謝ったって『私と楓未奈は、アナタ達のどちらの味方でもありません』って言っちゃたの……相葉先生……』だって。悲しい言葉だよね」

　未唯彩も楓未奈もただ。

『ひとりひとり、違う人格。別の人間なの』


(私、未唯彩よ。未唯彩として愛して欲しかったんだよね……)


「可哀想だよな……」


　楓未奈も未唯彩もただ。

『ひとりひとり、違う人格。別の人間なの』


(私、楓未奈よ。楓未奈として愛して欲しかったんだよな……)


「可哀想だよね……」