Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜
第48章 色々言われる前に……
「頭痛くなりそう」
マズイな。考え過ぎて頭痛くなって来た。考え過ぎると頭痛になって返ってくる俺。
ふと時計を見ると10時か……
「ファミレスにでも外に出掛けるかな」
9時近くまで寝てて、朝飯し食べる気分じゃなかったし、朝昼兼用で、なんか食いに行くか……
気分を変えなきゃ。
珍しく、母さんが学生時代の友人に会うとかで出かけてるし。そうだよ、母さんだって自分の好きな事をすればいいんだ。親父みたいに。
そしたらさ。狭い世界の中で、些細な事や気に入らない事ばかりに目が行かないでさ、広い視野でもっと色んな事を楽しめるはずなんだ。
「母さんが帰ってくる前に出掛けよう」
色々言われる前に……
自分の母親に対してさ、そんな事を思うなんて間違ってるって分かってるんだよ。けどさ、あの人とは 向き合うにはパワーが必要なんだよ……
「外、暑っちぃ!」
そりゃ暑いよな 。外なんだもん。エアコンの温度が低過ぎるのが苦手だから、自分の部屋の温度は高めに設定してる俺。一歩外に出ただけで、汗が噴き出す、灼熱地獄とは雲泥の差だった……
さっき、暑っちぃ!って感じたのは、頭痛くなるぐらい色々考えたからだったんだな。
そんな事を考えながら歩いてたら、家の近くのファミレスをすっ飛ばして。いつもと違うファミレスの前で、なんでか足がとまったんだ。
「あれ?」
ファミレスの建物の左側の奥。入り口のレジ近くの席に。俺の居る場所からはちょっと見にくいんだけど。
まっすぐ視線の先には『浜楓未奈』。彼女がぼんやりと座っていたんだ。