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Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜

第32章 『優しく微笑むキミ』を見つめる『キミを見ていたいのはボク』



 智Side


 ぇ?

 って感じに不安そうに、瞳を揺らしている梨良ちゃん。


「ジャン!」

 完成したよ。梨良ちゃんは絵をジッと見つめて。

「梨良ちゃんと俺だよ」

「私と……智くん……」

「どう見える?」

「……私、智くんをコッソリ見てた。智くんに気付かれちゃって」

 後ろ姿のオイラ。その先には、梨良ちゃんが……

「梨良ちゃん、恥ずかしそうに頬を染めて、でも、優しい瞳でオイラを見つめ返してくれたね」

「ゴメンなさいっ」

「いい加減、認識を改めようか?」

「智くん?」


「ジャン!」

「もう1枚?」

 そう、実は3枚仕上げたの。1枚目は結翔ちゃんとカズ。そして……


「『優しく微笑むキミ』を見つめる『キミを見ていたいのはボク』!の2枚!」


「……智くんと私?」

「智くんが私を。だよ。目の前で絵とかデッサンと格闘しているキミを。オイラがキミを見てた」

 背中の真ん中くらいまである、美しい黒髪。

 梨良ちゃんの後ろ姿。その先にオイラ。真剣な梨良ちゃんをニコニコで見つめてるの。

「オイラの位置からは、梨良ちゃんの後ろ姿は見えない。はずの構図だけどさ」

「……」

「ずっと、キミを見つめていたのは、オイラだよ」

「私、絵とかむしろ苦手で。智くんが将来『アニメーターの道に』って聞いて側に居たくてっ」

「中学、高校と絵画教室に通ったりとかさ。可愛いなって」

「邪魔っ、呆れたでしょ?」

「邪魔じゃない。呆れてない。可愛い!って言ったよ?大切な人を優先したいタイプだって」

「智くんっ、私、勘違いしちゃうよっ」


 両手で顔を覆い泣いちゃった梨良ちゃん。
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