Peridot 幸せの花咲かせましょ〜初恋と宝石Ⅶ〜
第22章 うん。やっぱり私、動く事にする
「智紗さん、2人で智さんの酔ったフリ作戦。に乗っかる事にしませんか?だからウチにも二宮さんに来て頂いたし」
お茶目なんだ。結翔ちゃん。砕けた感じのさ。普段の結翔ちゃんを見れて嬉しかったんだ。
「ありがとう……結翔ちゃん」
(智紗さん。泣いちゃった)
「二宮さん。私事ばかりでゴメンなさい。こんな風に、我が家はみんなで動き出す事が出来そうです。ありがとうございました」
(結翔ちゃん。キミって子は)
「結翔ちゃん。こちらこそ、ありがとうだよ。俺の話にさ、涙流してくれたじゃない」
「二宮さんと松本さんの話に、私、心が痛くなって。私だけが辛いんじゃないって。二宮さんが、私の心に寄り添ってくれた様に、私も二宮さんの心の痛みに寄り添う事が出来たらって」
「結翔ちゃんは、優しいね。それは、未唯彩ちゃんと楓未奈ちゃんもね」
「2人は家に帰った後、楓未奈は、偶然あのファミレスにいたって。未唯彩は学校に行ったみたい」
「潤アニキから聞いた。俺と同じ。煮詰まって散歩に出かけて。30分も歩いて、ふと、気付いたらさ。潤アニキにはファミレスでぼんやりしている楓未奈ちゃんがさ見えて。ファミレスに入ったって」
「不思議……ですね。未唯彩は気が滅入るからって。気が付いたら学校にいたって。バスケットボール部の顧問の相葉センセに『せっかくの夏休みに、何、学校に来てんの?』って』言われて『見つかっちゃったの』って、そう表現したんです」
「無意識に……みんな。偶然?必然?不思議だね。大野さんは美術大学の学生なんだけどさ。絵をボンヤリ描いてたら、梨良ちゃんが来たって」
「一気に、みんなの運命が動き出しましたね。未唯彩と楓未奈も『自分の話を真剣に聞いてくれた人は、結翔以外では初めて』って、号泣したんです」
「潤アニキは『楓未奈ちゃんが可哀想』って。相葉さんも『未唯彩が可哀想』って泣いてたよ。俺も苦しいもん。それから 2人とも『結翔ちゃん頑張ったね』って」
うん。やっぱり私、動く事にする。
「二宮さん。私、死亡ひき逃げ事故の「時効撤廃」の期限を無くす為に行動を移す事にします」
結翔ちゃんは、そんな事を唐突に言ったんだ。