第10章 逃げました。あの空間から

「これから部屋の片づけ物したり、用事があるので失礼します」


　もう！『家庭のゴタゴタは家庭で解決してください』って言っちゃった。

　だってそうでしょ？

　智さんの友達とはいえ初対面の人たちだよ？

　まぁ、酔っ払いを装いながら送ってもらった？智さんの目的とか？特に未唯彩を気にかけてるっぽい相葉センセとか？中々重たい話っぽい、楓未奈と揉めた二宮さんと苗字の違う松本さんとか？智さんを気に掛けていた相葉センセの妹さんの梨良さんとか？


　初対面やちょっとの関わりしか無い人達。私と智さんだってギクシャクしてるのに……

「ほんの短時間で凄い情報が頭の中にインプットされてない？」

　ゲッソリした気分で私は未唯彩と楓未奈に言うと。

「何よ。呼び捨てたり変なあだ名とか。あの笑顔がクセモノなんだよ！相葉センセは」

　って未唯彩。

「生徒だけでなくいろんな人、二宮さんと松本さん、智さんもあだ名呼びみたいだよね？」

　私の言葉に。

「『母親に愛されて幸せなはずが「俺だけ」とか、甘えたな人か』って、言っちゃった。単純な話じゃないっぽいよね 。苗字の違う兄弟って……」

　ちょっとまずったかな？　っていう表情をしている楓未奈……

「楓未奈と未唯彩の状況からしたら『は？キミは！親に食事に、学費代、色々おんぶに抱っこの甘えたな女のコだろ！』は言って欲しくないよ……私は」

　まぁ、知らないのだから仕方ないけど。


「私たちも自分だけが。って思ってるよね。なんか自分だけが辛い訳ないんだよね……」


　私は『櫻井』智さんは『大野』智紗さんは『櫻井』「家族」をなんとかしよう？って思ってるのよね？智さん。

『二宮さん』と『松本さん』苗字の違う兄弟。

『話してみ？』って微笑みながら色々察している『相葉先生』
　
　智さんが『酔っていない』と、感づいていたり『智さんを多分好きな梨良さん』


　自分の苦しみだけでなく、他の人の「幸せ」、他の人との「和合」、大きな意味での「平和」を考えられる「人」になりなさいって事なのかな？


　分かんないや。

　現実逃避だ。部屋の片付けしよ。ホントに片付けようと思ってたし。用事があるのはホントだし。


　未唯彩と楓未奈は、自分の。

『部屋を片付けて、用事もしなきゃ』　

　って帰っちゃった。