第17章 *親友*〜小金井慎二〜
次の日、土曜日。
慎二曰く、その日の部活は午後から。
あたしは準備をして、九時に家を出た。
目的の場所は、あたしと慎二の中学校の、道路を挟んだ正面にある公園。
その広い公園の向こうは、ちょうど川なので、公園にある階段の上は、左右に広がる長い道になっていた。
その道を駆けて、階段の一番上に立つ。
そこからは、懐かしい公園と中学校、そして、ブランコに座るその背中が見えた。
「慎二っ!」
名前を呼べば、背中を向けていた慎二の顔が見える。
なんか、中学の時より大人びた?
でも、親しみやすい感じなのに変わりはなくて。
「遠野!」
慎二は、笑顔でこっちに駆けてくる。
今じゃもう、慎二が近くに来るだけで、ドキドキが止まりそうになかった。
「慎二…手紙、見たよ。」
あたしが立ってる段のすぐ下の段に立つ慎二を、しっかりと見つめる。
慎二は、真っ赤になりながらも、ちゃんとあたしの事を見てくれてた。
「…あたしね、すごく嬉しかった。高校生になってやっと気づいたけど、あたし、慎二が好き。だから、あたしでよければ…慎二の彼女になりたいの。」
「お…俺も!俺も、遠野の彼氏になりたい!」
お互いが同じ未来を望んでて、同じ気持ちでいて。
それが幸せだって分かったから、あたし達は笑い合えた。
あたしは、階段のおかげで、中学の時と違って視線の高さが同じ慎二に、そっとキスをした。
*親友*
友達以上、恋人未満。
そんな曖昧な関係を変えれたら、
きっとそれは、大きな進歩だね。