• テキストサイズ

Sweet Love* Part2

第17章 *親友*〜小金井慎二〜


香奈side


あたしはふと、教室の窓から外を眺めながら、君の事を思い出していた。


「慎二、おっはー」


「遠野!おはよー」


毎朝、部活の朝練前に挨拶を交わしてた事。


「遠野!俺、好きな子が出来たよ!」


「えっ、誰ー?」


「え、それはちょっと…。えーと…うーん…。」


「あははっ、いいよ無理しなくて。相談なら、いつでも乗るから。」


悩み事や相談も、簡単に打ち明けられた事。


「もう卒業かぁ、早いね。」


卒業の時は、好きな子がいる、とか言ってたくせに、


「遠野…っ」


「…もう、ずっと泣いてたら、目痛くなるよ。」


…あたしのこと、抱きしめながら泣いてた事。
でも、そう言うあたしも、本当は泣いてたんだよ。

あれから一年経って、あたし達ももう高校二年生。
今は別々の学校だけど、メールでのやり取りは頻繁にしていた。

でも、君が…慎二が側にいないと、何かが欠けている気がしてならない。

毎朝の挨拶も、テニスを頑張る姿も、相談事も。
今では挨拶なんてさりげない事も直接出来ないし、慎二が今頑張ってるのはバスケだし、相談事もお互い、少なくなっちゃったね。

親友って、友達なだけのようで、それ以上のような不思議な存在。
でも、今更気づいちゃったんだ。
あたしは、慎二が親友以上のものに思えて仕方ない。


「慎二…好きだよ。」


君に届くはずの無い言葉は、窓から入ってきた風に吹かれて、どこかへ飛ばされてった。

なんで、あの日々のどこかで気づけなかったんだろう。
遠くなった時、ようやく君の存在がどれだけ大きかったのかに、気づかされたよ。
/ 141ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp