第15章 *Happy Birthday 8/2*〜火神大我〜
香奈side
「大我君、誕生日おめでとう〜!」
家の前で待っててくれた大我君に、おはようよりも先にギュッと抱きつく。
彼の匂いは、見た目と反して、どこか安心感があった。
見た目はちょっと怖いのに。
「え?あ、おう。覚えてたのか?」
意外そうな顔をする大我君。
「さっきまで忘れてた!でも、カレンダーに書いといたから、思い出したんだよ〜」
忘れんぼだとよく言われる私は、大切な事は全部、カレンダーに書いておく。
今日、八月二日の欄に書いてあったのは、『大我君の誕生日!』だけだった。
「プレゼントはね、今日ケーキ屋さん行こう!部活終わったら!」
「いいのか?結構遅くなるけど…。」
「だって、暇な日なんてそうそう無いでしょ?ていうか、暇でもバスケしてるもんね。だから、いつ行ったって同じだよ。」
噂によると、今日行くケーキ屋さんには、期間限定のフルーツケーキがあるんだとか。
フルーツが通常の1.5倍だとかなんとか、とにかくすごいらしい。
そんなの、食べない訳にはいかないよねっ!
…なんて、実は私が食べたいっていうのもあったりする。
だから、部活が遅くなったって、絶対二人で行きたいんだ。
「それじゃ、入って入って〜。今日は、マジバには負けちゃうけど大きめのチーズバーガー作ってみたよ!」
「マジ!?じゃあ、お邪魔する!します!」
「お邪魔するでもいいよ?」
ふふっと笑いながら、大我君を家に入れた。
大我君と私はいつも一緒に登校してるのだけど、大我君の方が学校から遠い。
けど、私の家の前が通り道ではあるので、いつも家に迎えに来てくれる。
私達はお互い一人暮らしなんだし、せっかくだからって事で、私は毎朝大我君に朝ご飯を作っていた。
それをいつも喜んでくれるのは、とっても嬉しい。
だから、いつも朝ご飯だって手を抜けない。
おかげで、かなり料理が上達してきた気がする。