第14章 *Happy Birthday 7/29*〜笠松幸男〜
昼休みあった事を黄瀬に話し、ふぅ、と一息吐く。
昼休みの出来事に対しての、安心のため息だ。
「正直、危なかったよ。あーいう時こそ、黄瀬に頼りたかったね。」
『いやいや、俺いちゃまずいシーンっスよね、それ。』
「必要なとこだけフォローして、邪魔者なシーンはあっち行けばいいんじゃない?」
『相変わらず心に突き刺さる毒舌っスね』
プレゼントを私が作り、受話器の向こうの黄瀬が、渡す時のシナリオを考える。
シナリオ通りは嫌だけど、渡す直前までの一連の流れだけを考えてくれるらしく、そこから先は私次第らしい。
それなら別にいいかなって事で、私は了承した。
「どう?黄瀬、どのくらい進んだ?」
スピーカー機能を使っているので、スマホを机に立てかけて、作業しながら会話する私。
このスタイルは結構話し合いとかもスムーズに出来ていい。
電話代はあれだけど、これからメールと電話を控えるから、っていう言い訳をすれば、親も許してくれるだろう。
『いい感じっスよ!ただ、今紙にまとめてるんスけど、どうしても字が斜めっちゃって、ちょっと見づらいかもしれないっス』
「黄瀬だもんね。しょうがないしょうがない。」
『慰めれてないっスよ』
黄瀬がムスッとするのが、受話器越しでも分かった。