第13章 *君のせい*〜小堀浩志〜
「…もう大丈夫?」
「ああ…悪い。」
「気にしないで。あたしが心配かけちゃったんだから。…ていうか、泣くまで心配してくれるなんて、優しすぎでしょ。でもあたし、嬉しかったよ。」
感謝と大好きって気持ちを込めて、浩志のほっぺにちゅーをする。
あ、さっきのやり返しっていう意味もあるけどね。
「…ん」
こく、と小さく頷いたまま、浩志は俯いてしまった。
耳まで真っ赤で、固まっちゃってる。
「…ごめん、俺、タオル持ってくる。遠野のジャージ、教室にある?」
「ん?あるけど…」
あ、濡れちゃってるかな?と思い制服を見ると、案の定ワイシャツからスカートまでビショビショ。
元々汗で張り付いていたワイシャツに関しては、もう透け透けだった。
「浩志」
「どうした?」
「…もしかして、意識しちゃってたり?」
また赤くなる頬。
タオルやジャージを持ってこようと出口側に体を向けていた浩志が、こっちに戻ってきた。
くいっと顎を持ち上げられる。
「…ごめん、俺、ちょっと優しくなくなる。」
「えっ?こ、浩志…?」
「…覚悟しといて」
そう言って彼がしたキスは、いつもとちょっと違うけど、優しくないなんてそんなはずはなかった。
*君のせい*
君のせいで、
こんなにドキドキして、
抑えられなくなってしまう。