第12章 *Happy Birthday 7/7*〜緑間真太郎〜
緑間side
七月七日。
星が輝く空を眺めていると、ふと、去年までの今日に願った、願い事を思い出した。
…一つ目は、確か三年前だったはずだ。
『遠野と仲が良くなりますように』
そう願ったら、俺は人事を尽くしているから当たり前と言ったら当たり前なのだが…現実になった。
その年の合唱コンクールにクラスで参加する時、話し合いの司会者であり当日の進行役でもあった彼女が、度々俺に話しかけるようになったのだ。
それは俺が伴奏を担当していて、生徒の歌声との調整や、当日の動きの確認などのためだったが、それ以来話す事が増えた。
趣味の話をしたわけでもないのに、二人きりで話していても話題が尽きないのも、理由の一つだったのかもしれない。
一つ言えるのは、翌年の三月には「真太郎君と話してるの、すごく楽しいんだよね」と言ってもらえるくらい、仲良くなれたということだった。
…二つ目は、一昨年。
『遠野との距離が縮まりますように』
と願った。
そうしたら、また叶った。
香奈は、部活は無所属だった上に、入るつもりもなかったらしい。
それを知った俺は、自分でも驚くくらいあっさりと、
「バスケ部のマネージャーになってほしい。」
と言った。
元々帝光中はマネージャーも多かったため、バスケについても初心者の香奈も、すぐに馴染めた。
引き受けてくれたのは、『真太郎君となら楽しそうだったから』らしい。
それを聞いた時は、すごく嬉しかった。
香奈を名前呼びするようになったのも、この年からだ。
クラスメイトであり、同じ部活となれば距離も近く、初めて呼ぶ時は緊張したが、香奈が笑顔を返してくれたことで段々慣れていった。