第10章 *Happy Birthday 6/18*〜黄瀬涼太〜
「ああ、これね。誕生花の花言葉の本だよ。」
「花言葉?香奈っち、そういうの興味あるんスか?」
「まぁね。その人の性格と花言葉が一致してると、ちょっと嬉しいし。暗記するほど趣味ってわけでもないんだけどね。」
メルヘンチック(?)なところが緑間っちと似てるかも、と思ったけど、そうでもないようで。
俺も、緑間っちに香奈っちと俺の相性を占ってもらった事があったのを思い出す。
確かにそういうのは、自分が望んだ結果が出ると嬉しくなるものだ。
ちなみに、俺と香奈っちの相性は、とにもかくにもすごく良いらしい。
「涼太君の花言葉が気になっちゃって。調べてみよっかなって。」
「あ、気になるっス、それ!」
そう言うと、香奈っちは本を開いて調べ始めた。
「あ、あった。えっと…誕生花はスイセンノウで、花言葉は『いつも愛して』だって。」
「…なんか、照れ臭いっスね」
『いつも愛して』なんて女々しい花言葉だとは思わず、恥ずかしくなる。
「香奈っちのは、どんなのなんスか?」
恥ずかしさを隠すためと、単に気になったという両方の意味で香奈っちに聞いてみた。
香奈っちの誕生日は、十二月二十六日。
クリスマスの次の日だ。
香奈っちはパラパラと本をめくってそのページを見た後、その本をパタンと閉じた。
「…ふふ、何でしょうか。」
「えー!気になるっスー!何で教えてくれないんスか?」
「んー…じゃあ、誰にも言わないなら教えてあげる。」
本をその場に置いて、香奈っちはその言葉を言った。
*Happy Birthday 6/18*
六月十八日は『いつも愛して』
十二月二十六日は、『幸福な愛』と
「『貴方を愛します』」