第9章 *クラスメイト*〜青峰大輝〜
「私、いつか教室にくると思って、ずっと隣にいたんだよ。また、出会ったばっかりの時みたいに、教室で会って、一緒に授業受けて、お喋りとかしたいよ。」
俺が屋上に来るようになる前までは、俺は普通に教室で毎日を過ごして。
なのに、いつからか変わってしまった。
遠野から、遠ざかって行っていた。
「悪い、遠野…」
「ううん、いいの。ごめんね、わがままで。」
遠野は謝ってるけど、でも、忘れて、とは言わない。
きっとまだ、遠野は俺の事を待ち続けてるんだ。
俺は、バスケに対する楽しみも失って、何もかもやる気がなくなってた。
でも、一つだけ頑張れる事がある。
「俺…明日から、教室行くから…授業中寝てたら、起こしてくれよ…?」
遠野を、笑顔にしたい。
そのためなら、俺、頑張れると思う。
この涙も、多分、そういう気持ちのせいで溢れたものだろう。
今更気づいた。
遠野が可愛いとか、助けたいとか、笑顔にしたいって思うの、全部。
…遠野が好きだからなんだ。
「あ、青峰君…。ダメ、そんなに泣いちゃ、私まで…っ」
もらい泣きしてしまったらしく、遠野もまた、泣き出してしまう。
でもそれは、悲しいという意味じゃない。
まだ、俺はこの気持ちに気づいたばっかだし、遠野ともまだまだ遠い。
けど、いつか…
いつか告白できるなら、お前と過ごした、そして、これからも過ごす教室で、思いを打ち明けたいと思った。
*クラスメイト*
同じ授業、同じ教室、同じ場所。
そんな近くで、
同じ時間を共有していたい。