第8章 *Happy Birthday 6/10*〜木吉鉄平〜
「そうかー、誕生日かぁ…。十七歳かぁ、俺…。香奈、ありがとな!」
「それ、リコちゃん達にも明日、ちゃんと言ってよ?それじゃあ、その辺座ってて。今ケーキ持ってくるから。」
『ケーキ』と聞いて、さらに喜ぶ鉄平。
…可愛い。
彼氏にこんな事言うのも変だけど、そういう純粋なところ、可愛いと思う。
なんて事を考えながら、ケーキを取り出し、チョコプレートを乗せる。
鉄平の反応を楽しみにしながら、落とさないように持って行った。
リビングのドアを開ける。
「それ、香奈が作ったのか…⁉︎」
「うん。チョコケーキ、食べれた?」
「ああ、今だけで半分は食べれそうだ!」
ちょ、食べ過ぎでしょwって笑う。
鉄平もそれにつられて笑顔になる。
こういうのって、すごい幸せかも。
「あ、鉄平。」
「ん?何だ?」
座ってる鉄平に、私からキスする。
なかなかしないんだけど、今日は特別。
「退院祝いは、これで…ゆ、許して…っ」
「っ…!」
あれ、鉄平の顔…赤い?
覗き込もうとしたら、よし、ケーキ食べよう!って誤魔化された。
なんだ…天然でも、こういうのって照れるんだ。
嬉しくなって、私はもう一回、今度は頬にキスをした。
*Happy Birthday 6/10*
「誕生日、おめでとう」
その一言で、天然で純粋な君は、
幸せそうに笑うんです。