第4章 *××な彼とデートしたら*〜黒子、高尾、笠松〜
香奈side
「…っ」
「ふふ、幸君緊張しすぎー。」
隣で固まってる彼氏の幸君の頬を、ツンツンとつつく。
幸君は一つ年上だけど、学校じゃない場所では『幸君』と呼んでいる。
「やめろ、つつくな!」
「だって幸君、可愛いんだもん。」
可愛いという単語に反論しようとする幸君。
だけどその声は、映画上映直前の、注意点についてのアナウンスで掻き消された。
アナウンスが終わると同時に、映画が始まる。
画面が大きいだけあって、普通とは違う感じだ。
映画は恋愛もので、モテモテだけど二重人格な女子と、地味だけどメガネを取ったら実はイケメンな男子の恋物語、ってところだった。
映画を見つつ、喉が乾いたのでコーラを飲もうとする。
…と、コップの上に置いた私の手の上に、誰かの手が重なった。
その指が、私の指と絡まる。
…幸君の手だ。
「…?」
このままじゃコーラ飲めないんだけどなぁ…。
何かあったかな、と幸君の方を見ると、見えたのは幸君の首の辺り。
顔はというと、私には見えない高さにあった。
えっと…おでこに何かあるのは、気のせいじゃ…ないよね?
どうやら私は、でこちゅーされてるらしかった。
映画館であまり声は出せないし、出したとしても周りの人に見られるのはやだ。
無言で特に反抗もせずにいたら、徐々に幸君の顔が見えてきた。
コツンとおでこがくっ付く。
「…っ!」
ち、近いっ…。
よく見たら、幸君の顔も赤い気がする。
見られるかもと思いつつも、私は、そのキスを受け止めた。
*女子が苦手な彼とデートしたら*
照れながらも触れてくれるから、
期待してた私まで
恥ずかしくなっちゃう。