第25章 *Happy Birthday 10/2*〜小堀浩志〜
「じゃあ…少しだけ、いいですか?」
「ん、どうぞ。」
したいこと、してほしかったことは色々あったけど、先輩に会うだけで全て飛んでいってしまったようだ。
それを何とか思い出そうとする。
「あ…じゃあ、その…。な、名前で呼んでも、いいですか…?」
「ん、いいよ。ね、呼んでみて?」
「…香奈、さん?」
「『さん』はいらない。」
「…香奈。」
恥ずかしくて、唇を噛み締めて耐えようとするけど、顔は真っ赤。
見えないようにするのに必死だった。
「他には?」
「敬語も…やめていいですか?」
「うん。」
他にも、確かもっとあった。
次は…
「抱きしめてほしい…。」
優しく包み込むような体温を感じる。
「好きって言って。」
「好き、…浩志君、大好き。」
二つ分の鼓動を感じる。
「キス…して。」
「…ん。」
貴方の愛を、感じる。
その全てが好きで、愛おしくて、たまらなかった。
*Happy Birthday 10/2*
そのキスの後に、
貴方は、
またあの日みたいに笑うんだ。